junichimoriwaki2005-04-26

1990年2月、高校3年のぼくは、大学受験のため東京へやって来ていた。

滑り止めのはずの大学の試験問題がやけに難しく、一浪の予感が一瞬よぎるも、本命の試験はいたってオーソドックス。落ち着いて問題を解いていけば、何とかなりそうだ。ドキドキしながら鉛筆を握る。

でもこのドキドキは、受験だけのせいじゃない。

東京ドームで10日間、ローリング・ストーンズのコンサートが開かれているのだ。親戚のそのまた親戚にお願いして、入手困難なチケットをなんとか手に入れることができた。

試験用紙に向かいながら、問題とミック・ジャガーが交差する。

いよいよコンサート当日。満員の東京ドームで、花火のスパークとともに幕を開けた2時間半の間、ぼくは立ちっぱなしで、走りまわるミック・ジャガーや、蹴りあげるキース・リチャーズのポーズに見とれていた。

ロックンロール・サーカスはあっという間に終わり、迎えた合格発表の掲示板に、ぼくの受験番号を見つけた。

ローリング・ストーンズはヨーロッパへ飛んで行き、ぼくは東京へやって来た。