junichimoriwaki2006-09-06

家族で1週間、暮らすように旅してきた屋久島。
あらかじめ用意するのは、鹿児島1泊付きの航空券と、ウィークリーで借りれるログハウスとレンタカー。
ごはんはその日の気分で、地元のスーパーへ買い出しに行きログハウスのキッチンで作るもよし、おいしそうなお店を探して食べるもよし。
2時間半もあれば車で島を一周できる。
林道には野生の鹿や猿の姿も。道路の真ん中で毛繕いされる猿はうっとり気持ちよさそう。
奥さんと交代で帆風を抱きかかえ踏み込んだ、屋久杉の森。
何百年も何千年もかけて、何種類もの杉が絡み合い、どっしりとした滑らかなフォームを形作る。
生えてくる葉もじつに多種多様。いたるところが苔むして、雨の水をたっぷり含んだキラキラ輝く天然のリュースターになる。
延々と続く緑のグラデーション。吸い込む息も深くなる。
山の上で霧がかった雨が降るかと思えば、海岸沿いでは暑い日射しに照らされる。こんなに小さい島なのに、場所や時間によって、天気はコロコロ変わる。
明け方に降る滝のような雨、まだ薄暗い部屋の窓のあちこちで青く光る雷。昼間遊び疲れたこどもたちは、気付くことなく熟睡してる。
雨上がりの匂い、虫の声。あるべきものがあるべきところに、ただ、ある。
旅はあっという間に終わり、心を屋久島に置き去りにしたまま、体はジェット機のスピードで東京の街へ。
渋谷発の最終バスの車内のあちこちで、夜光虫のように光る、携帯電話の液晶画面たち。
波の音と虫の声は、一口で車の音に飲み込まれてしまった。